今回は、毛髪の状態について説明していきたいと思います。 参考文献は 新ヘア・サイエンス 日本毛髪科学協会 著です。
髪の毛の状態
目次
毛髪には、直毛 くせ毛 縮毛 等があります。
この状態は、人種や民族によって異なります。
日本人の92%が直毛です。美容のためにパーマをかけたりするのは皆さんもされていると思います。
毛は毛包の生えている方向に伸びていって、毛の断面は円形の様になります。
くせ毛の方の毛包は狐状になっています。毛は毛包内でねじれながら伸びていって、その結果、くせ毛の様になります。その断面は楕円形になっています。毛球部の曲がり方が強いほどくせ毛になるそうです。
円形脱毛症が治った時に、今まで直毛であった方が部分的にくせ毛になってしまう事があります。
これは、皮膚の真皮にある結合組織も障害を受けて線維化してしまって、その影響で再生した毛球部が少し曲がってしまうからと考えられています。
縮毛、いわゆる ちぢれ毛 の毛包は極度に曲がって、毛球部は逆さをむいてしまっています。毛は渦を巻いてしまっており、その断面は扁平となっています。
縮毛は、アフリカ人の方は一般的な状態ですが、日本人にとってはわずかにしか見られないです。日本人は直毛が多いので、縮毛で悩まれている方の悩みは深刻です。また、ウーリィー・ヘア 日本語に訳すと 羊の毛の様な毛 という意味ですが この方は毛が細くて薄く、茶色っぽいちぢれ毛である事が多いです。
毛髪の変わった形状では
・連珠毛
・毛髪縦裂症
・白輪毛
・結節性裂毛症
・ネザートン症候群
があります。それぞれ説明していきます。
連珠毛は、毛髪の毛幹がふくらんだ部分と細くなった部分が交互にできてきて、数珠球を繋いだ様にでみえる事からいわれます。この膨らんだ部分と細い部分の間隔は、短いものと長いものがあります。この細い部分は切れやすくなっています。優性遺伝で家族内で同じ症状を持つ方がいて、日本人には稀な毛髪の状態です。
毛髪縦裂症は、毛髪の先端の2センチ以内の部分に縦裂を生じて、根元に向かって裂けている状態です。
また、キューティクルについてお話をしていきたいと思います。
キューティクルは、髪の毛の外側の部分の事を言っています。
髪の毛は、外側からキューティクル(毛小皮)・コルテックス(毛皮質)・メデュラ(毛髄質)の3層からできています。
毛小皮は、外部からの刺激、摩擦に耐える強くて丈夫な性質です。薬品やブラッシングなどの刺激から毛を保護して、毛に光沢を与えて毛髪成分の流出を防いでいます。
ここでキューティクルの構造についてお話をしていきたいと思います。
キューティクルの構造は、毛の最外側にあって1,000分の1ミリほどの無色透明な薄いうろこ状になっています。キューティクルは重なりあっていて、外側から見えている部分は1枚のキューティクルのほんの一部です。
このキューティクルは1枚で毛の外周の二分の一〜三分の一を包み根元から毛先に向かって偏平のうろこ状に重なり、重なりあっているその間には細胞複合体があって、キューティクル細胞同士を接着している綺麗な模様をしています。
その硬いうろこと表面に持っている脂質で物理的な損傷から毛髪を守っています。
硬い髪では、約10枚、軟らかい髪では約3枚重なり光を反射して毛髪に光沢を与えています。
キューティクルはタンパク質が主成分で毛皮質のタンパク質とはシスチンやリン脂質の含有量などに若干の違いがあります。
毛の引っ張りは横方向に対してコルテックス領域のキューティクル同士が接着されているため縦方向より強度が弱く烈毛、枝毛になりやすくなります。
また髪は水を吸うとキューティクルが開くという現象が起きやすくなります。
まとめるとですね
キューティクルは、毛髪の表面をおおっている部分です。
外部の刺激から毛髪内部を守り、コルテックスのタンパク質や水分が失われないように働くと同時に、髪につやを与えています。
根もとから毛先に向かってウロコ状に重なって1枚の細胞は非常に薄く、通常4~5枚が密着した層をなしています。
健康な髪は、紋理が規則的に整った波状をしていますが、傷んだ髪は乱れています。主成分は、イオウ含有量の多いケラチンで、色は無色透明。硬い反面、もろくて摩擦に弱いため、無理なブラッシングや乱暴なシャンプーによって傷ついたり、はがれやすくなったりします。
髪の毛の構造
今回は、髪の毛に対して細かく書いていきますね。薄毛で悩んでいる女性にとっては、髪の毛をよく理解するのが薄毛改善の早道だと思うからです。
参考文献として 新ヘア・サイエンス 第2版 日本毛髪科学協会 著 です。
毛髪の物理的性質として、まずは毛の硬さについてですが猫毛と言われる軟らかい毛髪もあれば、針金と言われる太くて硬い毛もあります。
これは、何からきているかというと、毛小皮の働きが毛髪の硬い軟らかいが決まってきます。
毛小皮は毛髪の外側を包んでいるものです。約3倍の厚さがあります。軟らかい毛は硬い毛にくらべると毛小皮が薄いのです。
次に毛髪の強さについてですが、健康な毛髪は150g前後の強さで切れます。
120g以下で切れるのは、かなり弱い毛髪です。もちろん損傷した毛髪であれば、この程度の力で切れることは日常よくみられることで、パーマをする際には十分気をつける必要があります。毛の強さを調べることは、毛髪診断には重要な手段の一つですが、引っ張って簡単に切れるからといって、それが毛髪が損傷しているとすぐ考えるのはよくないです。
毛の弾性としては、正常な毛髪は5%前後伸ばしても、力を取り除くと元の長さに戻ります。しかし、それ以上伸ばすと元の長さには戻りません。例えば、20センチの毛を21センチまで伸ばしても、離せば元の20センチに戻りますが、22センチまで伸ばすと、離しても20センチには戻らず20センチを超えます。この5%は1つの目安になりますが、毛髪によっても、その時に湿度によっても違います。一般的には45%以上伸ばすと切れます。
損傷した毛髪の場合は、損傷の程度にもよりますが、ちょっと伸ばしただけでも元の長さに戻らなかったり、簡単に切れたりしまったり、だらだらといくらでも伸びるようなこしのない状態になったりします。毛の伸びと弾力性も毛髪診断に欠かせないとされています。また、毛髪1本を頭部から引き抜く力は約50グラムと言われています。
毛髪は水分を非常によく吸着する性質があります。
実は、毛髪のタンパク質は、水になじみやすい性質(親水性)があります。また、毛髪の毛線維の間には毛細管のような空孔がたくさんあり、水分がその菅に吸い込まれて空孔の壁に付着しています。毛母細胞は毛髪を作る際に水分を失いながら角化します。空孔は、その水分があった隙間の一部が残ったもので、毛髪線維より間充物質の方に多く、水分が入ってくると上下左右に膨れようとします。しかし、縦方向へは、毛髪の線維がじゃまして広がらず、横方向に膨らむ傾向があります。
毛髪は、髪を洗った直後には30%ぐらいの水分を含みます。その後、水分は徐々に失われて11%〜13%くらいになります。毛髪の水分量は周囲の湿度にも影響されて、雨の日には増えて、空気が乾燥していると減少します。特に損傷した毛髪は健康な毛髪より空孔が大きいので、吸収性が大きくべたつき多かったり、反対に乾燥しすぎる事もあります。
また、乾いて硬くなったスポンジを水に漬けると、水分を吸収して軟らかくなると同時に大きくなります。このように、物が液体を吸収して体積が増す事を専門用語で膨潤(ぼうじゅん)といいます。
同様に毛髪も水につけておくと膨潤して、長さが1〜2%ほど長くなります。また、太さは15%ほど太くなって、重さは30%多くなります。
毛髪線維は、お互いに結合して網の目状になっています。吸収された水はその網目に入り、中から押し広げます。一方、水では切れない側鎖結合は縮もうとします。水分で膨らむ力と結合が縮む力とが釣り合った状態になると、それ以上は水分を吸収しなくなります。
これを膨潤平衡(ぼうじゅんへいこう)といいます。損傷した毛髪は側鎖結合が少なっており、その分だけ横に広がった吸収量も増えます。
毛髪が最も安定な状態になるのはpHがpH4.5〜5.5(等電点)のときですが、等電点より酸性になると膨潤度が高くなり、pH2以下では硬くなり溶解します。
アルカリ性の場合も膨潤度は、大きくなりますがpH10以上になると急に膨潤し溶解します。
髪の毛を水に浸けておくと、膨張して髪の毛が長くなります。これによって長さは1〜2%ほど長くなります。また太さは、15%太くなって、重さは30%ほど増えます。
毛髪を構成している毛線維は、お互いに結合して網の目状になったいます。吸収された水分はその網の目に入って中から押し広げます。一方で水では切れない側鎖結合は縮もうとします。水分で膨らもうとする力と結合が縮む力とが釣り合った状態になると、それ以上は吸収しなくなります。これを専門用語で膨潤平衡といいます。
実は、損傷してしまった毛髪の毛は側鎖結合が少なくなったしまうので、その分だけ横に広がって吸収量も増えていきます。
毛髪が最も安定している状態はpHが4.5〜5.5の時ですが、等電点より酸性になると膨潤度は大きくなってpHが2以下では硬くなって溶けます。アルカリ性の場合も膨潤度は大きくなりますが、pH10以上になってくると急に膨らんできます。
毛髪の電気的性質についてお話していきたいと思います。
よく幼い頃に下敷きで頭を擦ると毛が上に上がる状態にして遊んだのではないでしょうか?
これは、毛髪の帯電性を使ったものです。
帯電性というのは、摩擦によって生じた静電気によるものです。
ブラッシングをすると摩擦によって、毛髪が +に帯電し、ブラシは −に帯電します。毛髪同士は反発し合って、毛髪とブラシとが引き合うためです。摩擦を小さくしたり、湿り気を多くすれば静電気は発生しにくいとされています。
静電気防止剤として、シャンプーにシリコン 界面活性剤 油脂 湿潤剤が多く入れられています。
ある研究者によるとこれらが女性の薄毛の原因と言っている方もいます。
また毛髪は熱に関しても120℃前後で膨らむとされています。130〜150℃で変色が始まって、270〜300℃で分解が始まります。
真夏で太陽の紫外線に長く当たると毛髪の成分であるアミノ酸のシスチンが減少していきます。
そうなるとパーマがかかりにくかったり、パーマをかけた髪の毛が伸びやすくなったりします。
気なる方は外に出る際に太陽に当たらない様に帽子をかぶったりしてもいいかもしれないですね。